4年分の駐在マネー記録を、1冊のKindle本にした話|『駐在のお金、全部やってみた』を¥500で出しました
この記事の結論(先に3行) 2026年7月25日、ブログ「Jin|駐在とお金の記録」の内容を再構成した本『駐在のお金、全部やってみた』をKindleで出しました(Amazonのページ・¥500、Kindle Unlimited対応)。ブログが「悩みごとの点」なら、本は「内示→出国前→着任→駐在中→帰国」を上から順に読める「線」。内示が出た人が最短で迷わないように組み直しました。数字は一切盛っていません。
先に正直なことを言うと、僕は本を出すのが初めてです。だからこの記事は宣伝というより、「なぜブログを本にしたのか」の記録として書いています。売り込むつもりはあまりなくて、同じ製造業の駐在で内示が出て頭を抱えている人に「こういうものを作ったよ」と同僚に話すくらいの温度で読んでもらえたら十分です。
海外で暮らす日本人は約129万人、そのうち駐在が主体の長期滞在者は約71万人いるとされています(外務省の海外在留邦人数調査統計)。これだけの人がいるのに、内示から帰国まで「お金の流れ」を時系列で通して読めるものが、僕が探した限りほとんどなかった。だから自分で作ることにしました。
なぜブログを本にしたのか:ブログは「点」、本は「線」
ブログはありがたいことに、検索で見つけてもらえます。でも記事は「悩み × テーマ」で独立して書かれます。PFICの記事、ドル転の記事、クレカの記事……全部バラバラの「点」なんですね。
これが困るのは、内示が出たばかりの人です。検索で1本たどり着いても、「で、次に何をすればいいの?」の順番が見えない。僕自身がまさにそうでした。会社は最低限のやることリストやビザの手配はしてくれたけれど、資産をどう動かすか、子供の学校をどうするかは完全に手探りでした。「その辺りにサポートがあったらもっと良かった」と、今でも思っています。
本という形式なら、そこを解決できます。上から順に読むだけで、内示から帰国までの時間軸で迷わない。そういう「線」として組み直したのが今回の本です。
たとえば僕は出国前に、NISAでメインに積み立てていた投資信託を約1,000万円分、含み益ごと強制売却する羽目になりました。非居住者はNISAを続けられないからです(※2024年の新NISA以降、会社命令の海外転勤等の場合は出国前に「非課税口座継続適用届出書」を提出することで最長5年間の非課税保有継続が可能になりました——新規積立は不可。僕が渡米した当時は旧NISA時代だったのでこの選択肢はありませんでした。参考:マネックス証券)。当時は「すげぇ後悔した」けれど、選択肢がなかった。ブログだとこれは1本の記事ですが、本では「出国前にやること」の章の中に、PFICの落とし穴や送金で4.5万円損した話と一緒に、やる順番として並べています。点が線になると、こんなに読みやすくなるのかと自分でも驚きました。
ブログと本、何が違うのか
「ブログを全部読めば同じでしょ?」と思う人もいると思うので、正直に違いを表にしました。
| 項目 | ブログ | 本『駐在のお金、全部やってみた』 |
|---|---|---|
| 構造 | 悩みごとに独立した「点」 | 内示→出国前→着任→駐在中→帰国の「線」 |
| 読む順番 | 検索で来た記事から。順番は自分で組む | 上から順に読むだけ |
| 章立て | 公開順・テーマ別でバラバラ | 時系列で組み直し |
| 書き下ろし | なし | 本のための書き下ろし2章 |
| 巻末付録 | なし | 駐在マネー・タイムライン/出国前チェックリスト/FAQ50/用語集 |
| 値段 | 無料 | ¥500(Kindle Unlimitedなら追加料金なし) |
一番手をかけたのは、章の組み直しと巻末付録です。特に「出国前チェックリスト」は、僕が「渡米前の自分に渡したかったもの」そのものです。送金の正しい方法、クレヒスの仕組み、銀行の選び方——このあたりは当時の僕が本当に分かっていなくて、たとえば銀行は会社紹介のところを疑いもせず使い続け、高金利の口座に切り替えたのは2年目でした。最初の2年、機会を逃していたわけです。そういう「先に知っていれば」を、チェックリストにしました。
数字は盛っていません(ここは特に正直に書いた)
駐在のお金の本やブログって、「◯◯万円貯めた」「年収2,000万」みたいな景気のいい数字が並びがちです。僕の本にも数字は出てきます。4年でうちの資産は4,400万円ほど増えました。
でも盛りたくなかった。だから本の中でもはっきり書いています——増えた4,400万円のうち、半分以上は運用リターンではなく「入金」、つまり貯蓄です。駐在は給与がブーストされる(僕の場合は日米合計で、年収が渡米前の約1,000万円から2,000万弱になった)ので、単純に入金力が上がる。資産が増えた一番の主因はそこであって、僕が投資でうまくやったからではありません。
投資で派手に増やした話にした方が本は売れるのかもしれない。でも、それをやったらこのブログでずっと書いてきた「誠実に自分の経験を共有する」が崩れる。含み損も失敗も出してきたのに、本だけ都合よく見せるのは違うな、と。だから数字は等身大のまま載せました。
誰に向けて書いたか:あなたがどこを読むべきか
この本は、駐在のライフサイクルの「どの段階にいるか」で読む場所が変わります。自分の状況に当てはめてください。
| あなたの状況 | この本の使い方 | 特に効く章 |
|---|---|---|
| 内示が出たばかり | 頭から順に読む。まず出国前の資産整理で失敗を防ぐ | 出国前チェックリスト・PFIC・送金 |
| 駐在1〜2年目で迷っている | 着任〜駐在中の章を拾い読み。クレカ・銀行・車の判断軸を確認 | クレヒスの育て方・生活費・立ち上げ費用 |
| 帰国を見据えている | 帰国章+巻末FAQ50。ただし帰国編の完全版はvol.2待ち(後述) | 帰国後の口座維持・米番号・投資の出口 |
| まだ内示も出ていない予備軍 | 全体像をつかむ。読み物として | タイムライン・用語集 |
一番読んでほしいのは、やっぱり内示が出たばかりの人です。あの時期は、嬉しさと「英語できねぇ、どうしよう」が混ざった不安で、何から手をつけていいか分からない。そこで資産の整理を後回しにすると、僕みたいに送金や投信で無駄な損をします。本の前半だけでもその失敗はかなり防げるはずです。
より詳しいブログ側の全体像は駐在のお金・完全ガイドにまとめてあるので、本を買う前に雰囲気を確かめたい人はそちらをどうぞ。
値段と読み方:なぜ¥500・Kindle Unlimited対応にしたか
値段は¥500にしました。理由は単純で、KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)はKDPセレクトに登録したうえで価格を¥250〜¥1,650に設定すると印税が70%になり、それより外すと35%に下がるからです(Amazon KDPのロイヤリティ規定)。¥500なら1冊あたり約350円が僕の取り分。とはいえ、これで儲けようという本ではありません。「同僚に一杯おごる」くらいの気持ちで手に取れる価格にしたかった、というのが本音です。
| 読み方 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 購入する | ¥500(買い切り・ずっと手元に残る) | 手元に置いて何度も見返したい人 |
| Kindle Unlimited | 追加料金なし(月額980円の読み放題に含む) | すでにKU会員/まず試したい人 |
本の巻末や読者ページ(/book/)から、特典のPDFと駐在マネー系のツールにアクセスできるようにしました。チェックリストを印刷して使いたい人や、送金・立ち上げ費用のシミュレーションを触ってみたい人向けです。本を買っていなくても見られるものもあるので、覗いてみてください。
vol.2(帰国編)は、僕が実際に帰国してから書きます
今回の本には帰国の章もありますが、正直に言うと、帰国のいちばん難しいところはまだ僕自身が通っていません。
米国のクレカを帰国後も維持できるのか、どのカードを残すか、証券口座や401kを非居住者になっても持ち続けられるのか、米国の電話番号(2FAの命綱)をどう日本に持ち帰るか——今の僕には、まだ経験していない不安です。経験していないことを、経験したフリで書きたくない。
だから帰国の全部を扱う『vol.2(帰国編)』は、僕が実際に帰国を通り抜けてから書きます。その方が、読む人にとっても価値があるはずです。過程を含めて正直に記録する——このブログでやってきたことを、本でも続けるつもりです。
おわりに
本を1冊出してみて思ったのは、「点を線にする」はただ記事を並べ替える作業じゃなかった、ということです。当時の自分が何を知らなくて、どの順番で殴られたのかを思い出す作業でした。書きながら何度も、あのスクールバスに乗り込んでいった上の子の背中を思い出しました。
内示が出て眠れない夜を過ごしている人が、この本の前半だけでも読んで、少し肩の力を抜いてくれたら——それだけで、出した意味があります。
よくある質問
Q. ブログを全部読めば、本の内容は分かりますか?
大部分は重なります。ただ、時系列に組み直した構成・本のための書き下ろし2章・巻末付録(タイムライン/出国前チェックリスト/FAQ50/用語集)は本だけです。「順番で迷いたくない」「手元に一冊置いて見返したい」人には本の方が向いています。
Q. Kindle Unlimitedなら無料で読めますか?
はい。この本はKindle Unlimited対応なので、KU会員(月額980円の読み放題)なら追加料金なしで読めます。未加入の場合は¥500での購入になります。まず試したい人はKUで、手元に残したい人は購入で、が目安です。
Q. まだ内示も出ていませんが、読んで役に立ちますか?
役に立ちます。ただ、最も効くのは内示が出たばかりの人です。出国前の資産整理は時間との勝負で、ここでの失敗(NISAの扱い・送金・PFIC)が一番お金に響くからです。予備軍の方は、まず駐在のお金・完全ガイドで全体像をつかんでから本に進むのもおすすめです。
この記事は一人の駐在員の実体験の記録であり、投資・税務・法律の助言ではありません。 投資は自己責任で、税務は必ず専門家にご相談ください。制度・手数料は執筆時点の情報です。 詳しくは免責事項へ。
BOOK
『駐在のお金、全部やってみた』
このブログの4年分の記録を、出国前→着任→駐在中→帰国の時間軸で1冊に再構成しました。 失敗の実額と実ポートフォリオまで、全部載せています。
